やさしいビタミンCの知識

がんとビタミンC

20世紀後半,多くの抗酸化物質に抗がん活性が認められました.そのため,強い抗酸化力のあるビタミンC(L-アスコルビン酸)にも抗がん活性が期待されました.

そして,近年,ビタミンCにがん細胞の増殖を抑制する作用があるとして,ビタミンCの高用量点滴療法が行われています.しかし,大規模な臨床試験で高用量ビタミンC点滴療法によるがんの縮小効果はまだ確認されていません.

もし高用量ビタミンC点滴療法ががん治療に有効であるならば,既存の抗がん剤に比べて遙かに毒性や副作用が少ないです.また,薬価も安いことから,患者や国の経済的負担も少なく,その利点は計り知れません.

高用量ビタミンC点滴療法による抗がん活性は大いに期待されます.しかし,その効果は,多くの無作為化比較試験(randomized controlled trial)などの臨床試験により慎重に見極める必要があります

[石神 昭人]