やさしいビタミンCの知識

ビタミンC飲料(清涼飲料水)は,どうしてできたの?

ビタミンC(L-アスコルビン酸)は,水に溶かすと,酸素にふれて,壊れて(酸化)しまうため,飲料には向かないと昔は考えられていました.しかし,酸素を遮断した酸性溶液中では,なかなか壊れず,長持ちすることがわかり,ビタミンC入りの飲料が開発されるようになりました.

1958年に日本で初めて発売されたビタミンC飲料には,ビタミンCが100 mg含まれていました.当時の推奨量(所要量)が50 mg/日だったので,1本を二人で分ける!!という触れ込みでした(だだし,現在の食事摂取基準は,100 mg/日).1965年には,ビタミンCと一緒にビタミンB2やアミノ酸なども配合した褐色瓶の炭酸飲料が発売されました.光にあたるとビタミンB2が壊れるのですが,そのとき一緒にビタミンCも壊してしまいます.褐色瓶が採用されているのは,光の影響を防ぐためです.

1990年代初めには,食事摂取基準を大きく上回る1,000 mgを配合した飲料が発売されました.当時は,機能性飲料のブームがありました.法規上で,食品は効能を標榜できませんが,医薬品のビタミンC含有保健薬の最大服用量が2,000 mg/日だったため,最大服用量の半分を摂れるように設計したとのことです.その後,追随して各メーカーからは2,000 mgや3,000 mgを配合した製品も発売されました.今でも,ビタミンCをたっぷり配合した飲料が各社から販売されています.

[山本 憲朗]