やさしいビタミンCの知識

発がん性のあるニトロソアミンの生成を抑えるビタミンC

私たちをとりまく環境には色々な発がん物質が含まれています.中でも有名なのは亜硝酸です.亜硝酸は,胃の中で魚などに含まれる二級アミンと呼ばれる物質と反応するとニトロソアミンという物質を生成します.ニトロソアミンは肝臓で代謝された後に遺伝子のグアニンという核酸塩基と反応して別の分子に変えてしまうため発がん性のあることがわかっています.

亜硝酸は野菜の中に存在する硝酸(環境汚染物質である窒素酸化物NOxからも生成)から消化管に存在する微生物によっても生成します.しかし,ニトロソアミンの生成はビタミンCやビタミンEなどによって抑制されることがわかっており,通常の食事をしていればニトロソアミンの危険性はほとんどありません.魚や野菜は多くの栄養素を含んでおり,しっかり摂取すべきです.

なお,ハムやソーセージにはボツリヌス菌の増殖を抑えるため,或いは日本では発色剤として,亜硝酸ナトリウムが食品添加剤として使用されます.その量は安全性を考慮して肉1 kgあたり70 mgと決められています.

皆さんは食品添加剤というと,無雑作に使われていると考えていませんか?日本で使われる食品添加剤はすべて動物実験などによって一日許容摂取量(ADI: Acceptable Daily Intake)が決められ,そこから安全係数などを考慮して使用量が厳格に決められています.つまり厳しい法的ルールによって規制されていることを覚えておいてください.

[小城 勝相]