やさしいビタミンCの知識

からだで起こる炎症を抑えてくれるビタミンC

炎症は,細菌やウイルスなどから生体を守る防御反応です.我々のからだの中で炎症が起こった時に,肝臓やその他の臓器でタンパク質の一つであるC-反応性タンパク質(CRPと呼ばれています)は,その血中濃度が上昇することが知られています.事実,このCRPは人間ドックなどの健康診断において,からだの中で炎症が起こっていると血中濃度が上昇する炎症マーカーとして用いられています.

ビタミンCを作ることができない実験動物であるODSラットを用いて,CRPは,ビタミンC不足や欠乏時に,血中濃度や肝臓での合成が上昇することが分かってきました.さらに,このCRPの合成を引き起こす炎症性サイトカインと呼ばれるインターロイキン-6やインターロイキン-1の血中濃度もビタミンC欠乏によって上昇しました.

そして,ヒトにおいてもビタミンCの血中濃度が低くなっていく,すなわちビタミンCが不足していくと血中のCRPの濃度が上昇することがわかってきました.つまり,ビタミンCが不足あるいは欠乏すると,我々のからだの中で炎症が起こり,ビタミンCを摂取することによって炎症が抑えられていると考えられます.

さらに,摂取基準(100㎎/日)以上のビタミンCを食物から多量に摂取する,あるいは多量のビタミンCを投与することにより,炎症の発症が抑えられることも明らかになってきました.故に代表的な炎症性の疾患として知られている敗血症では,多量のビタミンCを摂取することにより,それに伴う炎症反応を抑制して致死率を改善することが期待されます.

[堀尾 文彦]